尿比重検査について
腎臓には体内の水分量に応じて尿を濃縮したり希釈したりする機能があり、尿比重はこの腎臓の濃縮能力を反映します。水分を多く摂れば尿は薄くなり比重は低下し、水分が不足すれば尿は濃くなり比重は上昇します。
尿比重は日中の変動量が大きいので、異常値が病気を示すとは限りません。しかし、異常の裏に糖尿病や尿崩症、腎臓病などが隠れていることもあるので油断は禁物です。
健康診断で異常を指摘された方、特に特にのどの渇きや多尿など気になる症状がある方は、放置せずに箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックへお越しください。原因を詳しく調べ、適切な対応を行います。
検査の意義と検査方法
尿比重は、体内の水分バランスと腎臓の濃縮機能を反映する数値です。脱水の程度を把握したり、腎機能障害の早期発見に役立てたりすることができるので、日常的な健康管理から病気の診断まで、幅広く活用されています。
検査方法と基準値
試験紙法
尿検査用の試験紙を尿に浸し、試験紙の色の変化で比重を判定します。健康診断などで広く用いられる簡便な方法です。
【一般的な基準値】
- 1.005~1.030:正常範囲
- 1.031以上:高比重(濃縮尿)
- 1.004以下:低比重(希釈尿)
※早朝第一尿は濃縮されているため比重が高く、水分摂取後は低くなる
尿浸透圧測定
腎臓の濃縮能力をさらに詳しく評価する場合は、尿浸透圧を測定します。
【一般的な基準値】
- 随時尿:50~1,300mOsm/kg
尿比重異常の主な原因
高比重(濃縮尿)の原因
脱水
発熱、下痢、嘔吐、発汗、水分摂取不足などにより体内の水分が不足すると、腎臓は水分を保持しようとして尿を濃縮します。特に高齢者は脱水になりやすいため注意が必要です。
糖尿病
血糖値が高くなると尿中に糖が排泄され、浸透圧の関係で尿比重が上昇します。大量の糖が含まれる尿は比重が高くなります。
心不全・腎不全
心不全や腎不全では体内に水分が貯留します。そのため、尿量が減少して濃縮尿となることがあります。
ネフローゼ症候群
腎臓の糸球体に障害が起こり、大量の蛋白質が尿中に漏れ出す病気です。尿中に蛋白質が多く含まれることで尿比重が上昇します。
造影剤の影響
CT検査などで造影剤を使用した後は、一時的に尿比重が高くなることがあります。病的なものではありませんが、造影剤の排泄が遅れると頭痛や気分不良などを起こることもあるので、使用後は多めに水分を摂るようにしてください。
低比重(希釈尿)の原因
水分の過剰摂取
大量の水分を摂取した後は、余分な水分を排泄するために尿が希釈され、比重が低下します。
尿崩症
抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌不足または作用不全により、腎臓で水分を再吸収できなくなる病気です。大量の薄い尿が排出され、尿比重が著しく低下します。
慢性腎臓病
腎機能が低下すると、尿を濃縮する能力が失われて尿が非常に薄くなります。
腎性尿崩症
腎臓が抗利尿ホルモンに反応しなくなる病気で、尿崩症と同様に希釈尿が持続します。
利尿薬の使用
利尿薬により尿量が増加し、比重が低下することがあります。薬の中断で改善することが多いです。
尿比重異常による症状
脱水による症状
口渇、皮膚の乾燥、尿量減少、濃い色の尿、倦怠感、めまい、頭痛などが現れます。重度の脱水では意識障害を起こすこともあります。
尿崩症による症状
著しい口渇と多飲、多尿(1日3L以上)が特徴的です。尿崩症が長期間続くと、体内の電解質バランスが崩れて高ナトリウム血症(※)を起こすこともあります。
(※)口渇感や無気力、倦怠感から始まり、中等度以上になると発熱や脱力感、全身痙攣や意識障害を伴うこともある
腎機能低下による症状
初期は無症状のことが多いですが、進行すると浮腫(むくみ)、倦怠感、食欲不振、貧血などが見られることもあります。
検査を受ける際の注意点
採尿のタイミング
尿比重は水分摂取量や時間帯により大きく変動します。医師の指示に従って採尿してください。
水分摂取の影響
検査前に大量の水分を摂取すると比重が低下します。通常の水分摂取量で検査を受けてください。
薬剤の影響
利尿薬や造影剤は尿比重に影響を与えます。服用中の薬や最近受けた検査について、あらかじめスタッフに伝えてください。
尿比重異常の場合の対応
再検査・精密検査
尿比重に異常が見られた場合、以下の検査で原因を調べます。
- 血液検査:腎機能の働きや糖尿病の有無、体内の電解質バランスを確認
- 尿検査:尿糖、尿蛋白の有無を確認
- 水制限試験・バソプレシン負荷試験:腎臓の反応を評価(尿崩症が疑われる場合)
- 腹部超音波検査:腎臓の形態を評価
原因疾患の治療
尿比重異常の原因が明らかな場合は、それぞれに応じた治療を行います。例えば脱水には適切な水分・電解質の補給が、糖尿病には食事療法や薬物療法による血糖コントロールなどが選択肢となります。尿崩症の場合は、中枢性か腎性かを特定したうえで適切な治療(抗利尿ホルモン製剤の投与や水分摂取の管理など)を行います。
日常生活での注意点
脱水の予防(こまめな水分補給)
脱水によって尿比重が上昇することもあるので、こまめな水分補給を心がけましょう。特に夏場や運動時は意識的に水分を補給してください。
尿の色に注目
尿の色は比重の目安になります。濃い黄色や茶色の尿は脱水のサイン、無色透明の尿は水分過剰または尿崩症の可能性があります。
定期的な検査
腎機能の低下は自覚症状が出にくいため、定期的な検査で状態を把握することが重要です。
よくあるご質問
Q.朝一番の尿と日中の尿で比重が違うのはなぜですか?
A.睡眠中は水分摂取がないため、朝一番の尿は濃縮されて比重が高くなります。日中に水分を摂取すると尿は薄まり比重が低下します。これは正常に腎臓が働いている証拠でもあります。
Q.尿の色が濃いのですが、脱水ですか?
A.濃い色の尿は脱水のサインであることが多いです。十分な水分を摂取して様子を見てください。水分を摂っても尿の色が改善しない場合や、他の症状がある場合は、放置せずに当院へご相談ください。
Q.尿比重が低い状態が続きます。腎臓が悪いのでしょうか?
A.尿比重が常に低い場合、腎臓の濃縮機能低下や尿崩症の可能性があります。ただし、水分を多く摂取する習慣がある方でも低くなることがありますので一概には言えません。早めの受診をお勧めします。