フルミスト点鼻液とは?

フルミスト点鼻液は、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンです。このワクチンは弱毒化した生きたウイルスを使用する「生ワクチン」で、鼻やのどの粘膜で局所免疫を作ると同時に、全身の免疫も活性化させます。
従来の注射型ワクチン(不活化ワクチン)とは異なり、鼻の粘膜に直接噴霧することで、インフルエンザの感染を予防します。痛みなく接種できる上、注射型ワクチン以上の効果持続が期待できます。
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、フルミスト点鼻液によるインフルエンザ予防接種を実施しています。まずはお気軽にご相談ください。
フルミスト点鼻液の特徴
投与が簡単
左右の鼻に1回ずつスプレーするだけで接種が完了し、注射のような痛みがありません。注射が苦手なお子様も無理なく受けていただけます。スムーズな接種は、同伴される親御様にとっても大きなメリットとなるはずです。
粘膜免疫による防御
フルミスト点鼻液は鼻の粘膜に直接作用するため、インフルエンザウイルスが最初に侵入する場所に免疫を作ります。ウイルスの侵入を入り口でブロックできるので、従来の注射型ワクチンよりも高い予防効果が期待できます。同時に血液内にも免疫を作れるので、ウイルスに感染してしまった場合でも、重症化を回避できる可能性が高いです。
効果が長期間持続する
生ワクチンは、弱毒化した生きたウイルスを使用したワクチンです。実際のウイルス感染に近い形で免疫を獲得できるのが特徴で、これにより自然で強力な防御システムを構築できます。従来の不活化ワクチン(注射型ワクチン)の予防効果は4~5か月程度であるのに対し、フルミスト点鼻液は1年ほど持続します。
交差免疫の効果
フルミストは株の違うインフルエンザウイルスに対しても一定の効果(交差免疫)を示すことが報告されています。変異しやすいインフルエンザウイルスに対して、より幅広い防御が可能となり、予測と異なる型のインフルエンザが流行した場合でも、ある程度の予防効果が期待できます。
接種時の注意点
対象者
- 小学生以上の方から18歳の方
推奨される接種時期
フルミスト点鼻液の接種は、インフルエンザシーズンが始まる前の10月から12月が推奨されます。接種後、免疫ができるまでに約2週間かかるため、流行期に入る前の接種が理想的です。
接種回数
接種は1シーズンに1回で、追加接種の必要はありません。
※注射の場合、12歳以下では2回接種が必要
費用
8,800円(税込)
※注射型ワクチン同様、任意接種となります
予約と在庫
当院では10月から接種を開始し、在庫がなくなり次第終了となります。早めのご予約をお勧めします。
フルミスト点鼻液の適応
接種不適当者
以下に該当する方は、フルミスト点鼻液を接種することができません。
- 2歳未満および19歳以上の方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがある方
- 免疫機能が低下している方(免疫不全症、白血病、リンパ腫、HIV感染症など)
- 免疫抑制をきたす治療を受けている方(化学療法、高用量ステロイド療法など)
- 5歳未満で喘息の既往がある方、または1年以内に喘息発作があった方
- アスピリンまたはサリチル酸製剤を服用中の方
- 妊娠中の方
など
接種要注意者
以下に該当する方は、接種前に医師との十分な相談が必要です。
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患がある方
- 予防接種で接種後2日以内に発熱があった方
- 過去にけいれんの既往がある方
- 過去に免疫不全を診断されている方
- 鼻炎等により鼻閉の強い方(ワクチンの効果が十分に得られない可能性あり)
- 鶏肉や卵にアレルギーのある方
- 気管支喘息のある方
- 本人または家族に先天性免疫不全症の方がいる方
など
副反応について
一般的な副反応
接種後によく見られる症状として、鼻水や鼻づまり、のどの痛み、軽度の発熱、頭痛、筋肉痛などがあります。通常2~3日で自然に改善します。
年齢別の症状
低年齢のお子様では、食欲低下や活動性の低下、機嫌が悪くなるなどの症状が見られることがあります。これらの症状は、体内で免疫が形成されている証拠でもあり、過度に心配する必要はありません。
重篤な副反応への対応
重篤な副反応は極めてまれです。万が一、高熱が続く、呼吸困難、じんましんなどの症状が現れた場合は、すぐに当院へご連絡ください。接種後の経過観察も含め、安全な接種体制を整えています。
注射型ワクチンとの比較
効果の違い
2歳から7歳の子どもでは、フルミストの方が高い効果を示す報告もありますが、フルミストと注射型ワクチンのインフルエンザ予防効果は「基本的に同等」とお考えください。
副反応の違い
フルミストは接種後に軽い風邪症状(鼻水、くしゃみ)が現れることがありますが、痛みはありません。一方、注射型は接種部位の腫れや発赤などを伴うことがあります。
基本的にどちらも安全性は高く、重篤な副作用は極めてまれです。
適応の違い
フルミストは2歳から19歳未満が対象で、喘息や慢性疾患がある方には適しません。注射型は生後6か月以上から高齢者まで幅広く使用可能で、基礎疾患がある方も接種できます。
費用面の違い
フルミストは注射型より費用が高めですが、小学生以下は2回接種が必要な注射型と比べると、費用差はそれほど大きくありません。
まとめ~結局どちらが良い?~
フルミスト・注射ともにインフルエンザに対する有効な予防方法なので、一概にどちらが優れているというものではありません。お子様の状況に応じて選択することが大切です。
あえて区別するのであれば、注射が苦手なお子様にはフルミスト、2歳未満や基礎疾患がある方には注射型が適している、と言えるでしょう。このほかにも気になる点がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。