狭心症とは?

狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなることで、心筋(心臓の筋肉)への血液供給が一時的に不足する病気です。心筋が酸素不足に陥ることで、胸の圧迫感や締め付けられるような痛みが生じます。狭心症による症状は数分程度で治まることが多いですが、放置すると心筋梗塞に移行する可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
「胸が締め付けられる」「階段を上ると胸が苦しい」といった症状でお悩みの方は、箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックへお気軽にご相談ください。循環器専門医が詳しい検査と適切な治療を行います。
狭心症の種類
狭心症には大きく分けて「労作性狭心症」と「安静時狭心症」があり、それぞれ症状の現れ方や原因が異なります。いずれのタイプも適切な治療により症状のコントロールが可能です。
労作性狭心症
何らかの労作時に症状が現れるタイプで、比較的よく見られる狭心症です。階段昇降、早歩き、重い荷物を持つなどの動作で心臓が酸素を欲した際に、狭くなった冠動脈では十分な血液を供給できないため症状が現れます。多くの場合、安静にすると症状は改善します。
安静時狭心症(異型狭心症)
安静時にも症状が現れるタイプの狭心症です。冠動脈の一時的な痙攣(けいれん)により血流が低下することで起こります。
日本人に比較的多く見られ、喫煙者に多いのが特徴です。
狭心症の症状
狭心症の症状には個人差がありますが、症状は通常3~5分、長くても15分以内には改善します。症状が20分以上続く場合は心筋梗塞の可能性があるため、直ちに救急車を要請してください。
典型的な症状
- 胸の圧迫感
- 締め付けられる感じ(胸の中央から左側に多い)
- 胸の重苦しさ、息苦しさ
- 胸骨の裏側の不快感
など
放散痛(関連痛)
胸の違和感と同時に起こる各所の痛みも狭心症の典型的な症状です。
- 左肩から左腕にかけての痛みやしびれ
- 顎や歯の痛み
- みぞおちの不快感
- 背中の痛み(特に肩甲骨の間)
など
随伴症状
- 冷や汗
- 吐き気、嘔吐
- 動悸
- めまい、ふらつき
- 全身倦怠感
など
狭心症の原因
動脈硬化
血管の内側にコレステロールなどが蓄積し、血管が狭くなった状態です。「血管の老化」とも言え、長年の生活習慣の影響により徐々に進行します。
動脈硬化を促進する主な要因
- 高血圧:血管壁への圧力増加
- 脂質異常症:悪玉コレステロールの蓄積
- 糖尿病:血管内皮の損傷
- 喫煙:血管の炎症と収縮
- 肥満・メタボ:内臓脂肪からの炎症物質分泌
- 運動不足:血流の停滞
- ストレス:交感神経の過剰な活性化
など
冠動脈の痙攣(けいれん)
血管が一時的に収縮することで血流が低下し、心臓への血液供給が妨げられます。
冠動脈の痙攣を誘発する主な要因
- 喫煙(ニコチンによる血管収縮)
- 過度の飲酒
- ストレス、精神的緊張
- 寒冷刺激(冬の早朝、入浴時など)
- 過呼吸
など
その他のリスク要因
- 睡眠時無呼吸症候群
- 慢性腎臓病
- 歯周病(慢性炎症)
など
狭心症の検査と診断
心電図検査
心臓の電気信号を記録する基本的な検査です。安静時の心電図では異常が見つからないことも多いため、症状がある時の記録が重要です。
24時間心電図検査(ホルター心電図)
携帯型の心電図装置を24時間装着し、日常生活中の心電図の変化を記録します。安静時狭心症の診断に役立ちます。
超音波検査(心エコー)
超音波を使って心臓の動きや血流を観察します。当院では超音波専門技師が精度の高い検査を行っています。
冠動脈CT検査・心臓カテーテル検査
冠動脈の狭窄の程度や部位を詳しく調べる検査です。より詳細な評価が必要な場合に行います。
※CT検査・カテーテル検査は提携医療機関と連携して実施します
狭心症の治療
薬物療法
狭心症の薬物療法は、発作時の症状緩和と発作予防の両面から行います。ニトログリセリンなどの硝酸薬は血管を拡張させて速やかに症状を改善し、β遮断薬は心筋酸素需要を減らして発作を予防します。また、抗血小板薬により血栓形成を防ぎ、心筋梗塞への進行を予防します。
手術
狭くなった冠動脈に対する治療で、主に2つの方法があります。
1つはカテーテル治療(冠動脈形成術)で、手首や太ももの血管から細い管を入れ、狭い部分をバルーンで広げた後に金属の筒(ステント)で固定する方法です。局所麻酔で実施でき、入院も短期間で済むことが多いです。
一方、複数の血管が詰まっている場合などは、胸や足の血管を使って迂回路を作る冠動脈バイパス手術(CABG)が検討されます。
※入院が必要ですので、提携医療機関をご紹介します
日常生活での注意点
食事
狭心症の管理には、心臓に優しい食生活が大切です。特に塩分の摂りすぎは血圧を上げ、心臓に負担をかけるので注意しましょう(1日6g未満を目安に控えめにする)。
運動
適度な運動は心臓を強くし、狭心症の改善につながります。ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を生活に取り入れると良いでしょう(週3回以上、1回30分程度が目安)。
ただし、運動中に胸の痛みや強い動悸を感じたら、すぐに中止して医師に相談してください。
その他の生活管理
- 禁煙(受動喫煙も避ける)
- 節酒(ビール:500ml、日本酒:1合程度が1日の適正量)
- 十分な睡眠時間を確保する
- ストレスを溜め込まない
- 規則正しい生活リズムを意識する
など
注意が必要な生活シーン
狭心症の発作は、心臓に負担のかかる特定の状況で起こりやすくなります。以下のシーンに注意しましょう。また、発作時用の薬(ニトログリセリン)を常に携帯し、発作時にすぐ使えるようにしておくことも大切です。
- 急激な温度変化(冬の外出時、入浴時など)
- 過度の興奮
- 暴飲暴食
- 排便時のいきみ
など