糖尿病とがんの関係

糖尿病とがんの関係

糖尿病とがんの関連性

近年、糖尿病とがんの関係についての研究が進み、糖尿病患者様はがんを発症するリスクが高まることが明らかになりつつあります。がんには胃がんや大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、卵巣がんなどの様々な種類がありますが、いずれも糖尿病との関連が指摘されています。また、糖尿病患者ががんを発症した場合、生存に関する予後が悪くなる傾向がありますので、この点にも注意が必要です。

しかし、糖尿病になったからといって必ずがんになるとは限りません。適切な血糖コントロールと生活習慣の改善により、がんのリスクを低減できる可能性があります。当院では、糖尿病の管理とともに定期的ながん検診の実施をお勧めしています。

糖尿病ががんリスクを高める理由

高血糖・高インスリン状態の影響

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きに加えて、細胞の成長を促進する作用も持っています。特にⅡ型糖尿病ではインスリンの効きが悪くなってしまうため、膵臓は必要以上にインスリンを分泌するようになります。この状態が続くとインスリンの細胞成長促進作用が過剰に働き、がん細胞の増殖を促進してしまいます。

高血糖による酸化ストレス

高血糖状態が続くと、体内で活性酸素の産生が増加します。活性酸素は細胞を酸化させる物質で、過剰に産生されると細胞のDNAを損傷させる可能性があります。このDNA損傷が修復されないと、細胞のがん化につながるリスクが高まるのです。

また、高血糖によって血管の細胞がダメージを受けると動脈硬化が進行します。これにより血流が滞るようになると、周辺組織の低酸素状態を引き起こし、がん細胞の生存に有利な環境が作り出されることになります。

代謝異常の影響

糖尿病では、糖質代謝の異常だけでなく、脂質代謝や蛋白質代謝にも異常が生じます。特に脂質代謝の異常による内臓脂肪の蓄積は、がんを抑える「アディポサイトカイン」と言う物質の分泌バランスを崩してしまいます。これにより炎症を促進する物質や発がん性物質が増加することで、がんの発症率が高まります。

また、これらの代謝異常は免疫系の機能低下も引き起こしますので、がん細胞の早期排除を妨げる可能性があります。

がん種別の糖尿病との関連

胃がん・大腸がん

糖尿病患者様は胃がんや大腸がんなどの消化管がんのリスクも高まります。これは糖尿病と消化管がんの原因に共通点が多いためで、高インスリン状態だけでなく運動不足、食生活の偏りなどの生活習慣が影響していると考えられています。

胃がん・大腸がんは早期発見により治療効果が高いため、定期的な大腸がん検診をお勧めしています。

肝臓がん

糖尿病患者様は、肝臓がん(肝がん)の発症リスクが約24倍に高まるとされています。肝がんの原因は肝炎ウイルスやアルコールによるものが多かったのですが、近年では糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームなどによる脂肪肝による肝がん(メタボ肝がん)が増えつつあります。

肝機能の低下は血糖コントロールをさらに難しくする要因となるのですが、その一方で進行に伴う自覚症状がほとんど現れません。定期的な肝機能検査が重要です。

膵臓がん

膵臓は血糖値を調節するインスリンを分泌する重要な臓器です。これまで糖尿病の指摘がなかったのに、50歳以降で急に発症した場合は、膵臓がんのサインである可能性もあります。また、膵臓がんによってインスリンの分泌が低下し、糖尿病を引き起こすこともあります。早期発見が難しいがんのため、定期的な検査が重要です。

その他のがん

乳がん、子宮体がん、膀胱がんなども、糖尿病との関連が指摘されています。特に女性の場合、肥満と糖尿病の組み合わせでホルモンバランスの変化が起こり、これらのがんのリスクが高まる可能性があります。

糖尿病患者のがん予防

がんの中には原因が糖尿病と共通するものも多々あります。反対に言えば、糖尿病を適切に管理・予防をすることで、がんの予防も期待できます。

生活習慣の改善

適切な食事管理と運動習慣の確立が重要です。バランスの良い食事と生活の中での適度な運動を心がけましょう。喫煙や飲酒は様々ながんのリスクを高めるため、禁煙と節酒に努めることも大切です。

血糖コントロール

良好な血糖コントロールは、糖尿病の管理・予防だけでなく、がんのリスクを低減させる可能性があります。上記の生活習慣のほか、必要に応じた薬物療法でコントロールを行います。

定期的な検診

糖尿病患者様は、通常より頻繁ながん検診を受けることが推奨されます。特に発症リスクのあがる50歳以上の方は、年1回の定期的ながん検診が重要です。

当院でも箕面市が実施する各種がん検診に対応しております。糖尿病専門医と循環器内科専門医、消化器内科専門医が常に連携して糖尿病の診断と治療、がん検診にあたります。

がんを疑うべき症状と対応

がんの多くは発症・進行に伴う自覚症状に乏しいのが特徴です。定期的ながん検診で健康管理を行いつつ、疑わしい異変を感じた際は迅速に対処するようにしましょう。

注意すべき症状

説明のつかない血糖コントロールの悪化、急激な体重減少、原因不明の貧血などが見られた場合は、がんの可能性を考慮する必要があります。また、普段と異なる体調の変化にも注意が必要です。「風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなった」「下痢・便秘が長引いている」などの異変を感じた際は、放置せずに原因を特定するようにしましょう。

医療機関への相談

気になる症状がある場合は、すぐに医師にご相談ください。当院では、糖尿病専門医と循環器内科専門医が連携し、適切な検査と治療を提供いたします。

予防と早期発見への取り組み

箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、定期的な健康診断に加えて、患者様の状態に応じた検査プログラムをご提供しています。糖尿病とがんは密接な関係にありますが、適切な管理と定期的な検査によりリスクを低減可能です。

当院では、糖尿病専門医が患者様お一人おひとりに合わせた予防プログラムを提案し、長期的な健康管理をサポートいたします。

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