消化器内科とは?
腹痛・膨満感・便秘・下痢などのお悩みにお応えします

消化器内科では、腹痛、腹部の張り、排便の不規則、胸やけ、吐き気などの消化器症状の診療をいたします。
当院では内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)など専門的な検査もご受診いただけます。
また、ピロリ菌検査や除菌など、胃がんリスクを高める可能性のある検査もご利用いただけます。
お体に不安を感じる症状がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
- お腹が痛い(腹痛)
- 下腹部が張っている(膨満感)
- 食べるとすぐに満腹になる
- 便秘・下痢が続く
- 胸焼けがする
- 食後のもたれ感が続く
- 血便が出る
- 黒色の便が出る など
このような症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
症状が2週間以上続くようなら…
消化器内科へ相談いただく際に多い症状には、腹痛、下痢・便秘、膨満感などがあります。
急性症状の場合は薬の処方や経過観察も行うことがありますが、症状が2週間以上続く場合には内視鏡検査を受けることをお勧めしています。
消化器内科のよくある病気は?〜胃の病気〜
逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することで引き起こされる炎症性疾患です。通常、健康な人でも胃酸の一時的な逆流は見られますが、その時間が短ければ問題にはなりません。しかし、逆流が長時間続くと、食道の粘膜が胃酸に対して脆弱になり、炎症が生じる可能性があります。
この病気は成人の約10~20%に影響を与えると推定されており、特に中高年や高齢者に多く見られます。適切な治療を受けない場合、症状が持続することで日常生活に支障をきたす可能性があります。
食道と胃の境界に位置する下部食道括約筋は、食物が通過する際に胃の入り口を閉じ、胃の内容物が食道に逆流しないように働きます。この筋肉が緩むと、胃から食道への逆流が起こりやすくなります。下部食道括約筋が緩む原因としては、加齢による生理的変化、胃内圧の上昇(食べ過ぎ、早食いなど)、腹圧の上昇(肥満、衣服の締め付けなど)、高脂肪食などが挙げられます。
逆流性食道炎の主な症状には、胸が焼ける感覚、酸っぱいものが上がってくる感覚、食後に胸やみぞおちのあたりが痛むというものがあります。また、のどの違和感や声のかすれ、慢性的な咳(肺や心臓に異常がないのに続く咳)などの症状もあります。これらは主に寝ている間に胃液が、のどのあたりまで逆流してくることによって引き起こされます。
胃炎
胃炎は、胃の粘膜に炎症が生じた状態を指します。その原因によって、急性胃炎や慢性胃炎などの異なる種類があります。急性胃炎は、食べ過ぎ、飲みすぎ、過度なストレス、喫煙などが原因とされ、慢性胃炎はピロリ菌感染などがその一因とされます。特にピロリ菌感染が原因の場合、適切な治療を受けないと胃・十二指腸潰瘍や胃がんなどの合併症が生じる可能性があります。
病理診断において、組織中に炎症が認められると胃炎と診断されます。自覚症状から診断される症候性胃炎では、胃がムカムカする、胃が重たいといった症状が見られます。
以前は、胃の症状があれば単純に「胃炎」と一括りにされていましたが、最近ではピロリ菌感染による胃炎と機能性ディスペプシアなど、胃の機能低下によって引き起こされる胃の症状が区別されるようになっています。
胃がん
胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞へと変異し、異常に増殖することによって発症します。このがんが進行するにつれ、徐々に粘膜の下層、固有筋層、漿膜へと外側に広がっていきます。
さらに進行すると、がんは漿膜を越えて近隣の臓器である大腸、膵臓、横隔膜、肝臓などにも広がります。このようながんの周囲への広がりを浸潤と呼びます。漿膜を越えると、腹膜播種と呼ばれる状態がおなかの中で生じることがあります。また、がん細胞がリンパ液や血液によって他の臓器に移動し、そこで増殖する転移も起こり得ます。
胃がんにはスキルス胃がんと呼ばれるタイプもあります。これは胃の壁を厚く硬くして広がる特徴があり、進行が早く腹膜播種が起こりやすいとされています。また、内視鏡での診断が難しい場合もあり、症状が現れてから発見されることが多く、治療が難しいタイプのがんです。
胃アニサキス
アニサキスは、寄生虫(線虫)の一種で、イカやサバなどの魚介類の内臓に寄生しています。この寄生虫は、魚介類が死亡し鮮度が低下すると内臓から筋肉へ移動します。アニサキスが寄生している魚介類を十分に加熱処理せずに食べると、胃痛や吐き気などの症状が引き起こされます。お刺身や寿司などの生魚料理を食べる際は、よく噛んでから摂取するなどの注意が必要です。
人間の体内ではアニサキスは長く生息できないため、アニサキス症を発症しても数日で胃痛や吐き気などの症状は収まります。しかし、稀に重症化することもありますので、胃痛や吐き気が続く場合や数日経っても症状が治まらない場合は早めに医師に相談してください。アニサキス症の症状は、生魚を摂取した後、数時間から十数時間後に激しい腹痛や吐き気、嘔吐が現れます。アニサキス症の特徴は、一定の間隔で腹痛が発生したり収まったりすることです。
胃内に侵入したアニサキスは、胃の粘膜に虫体の先端を突き刺します。痛みが激しいのは、この突き刺さった状態によるものと思われがちですが、実際にはアレルギー反応が原因と考えられています。症状が悪化する場合は、発熱やじんましんなどの症状も伴うことがあります。
胃・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸によって粘膜が傷つき、潰瘍が形成される病気です。これにはピロリ菌感染、薬の副作用、ストレス、飲酒や喫煙などが主な原因として挙げられます。患者は腹部やみぞおちに痛みを感じる、胸焼けや膨満感、食欲不振などの症状が現れることがあります。
診断にはバリウム検査や内視鏡検査(胃カメラ検査)が行われ、胃の状態を詳しく観察します。その後、胃酸の分泌を抑える薬の処方やピロリ菌感染の場合は除菌治療が行われることがあります。また、内視鏡検査を受けると、2回目まで保険が適用されることがあります。
この疾患の一般的な症状はみぞおちの痛み(特に空腹時に強い痛みがある)、不快感、胸やけ、吐き気・嘔吐、食欲不振、吐血・下血 などがあります。
機能性ディスペシア
機能性ディスペプシアは、胃の痛みや不快感などの症状が現れているにもかかわらず、上部消化管検査(胃カメラ)などの検査で何も異常が見つからない場合に診断される疾患です。英語では、functional dyspepsiaの頭文字をとって「FD」とも呼ばれます。
健康診断を受けた人のうち11~17%、症状を訴えて病院にかかった人のうち44~53%が機能性ディスペプシアと診断されることがあり、比較的「よくある病気」の一つです。
機能性ディスペプシアの診断基準には、心窩部痛、心窩部灼熱感、食後のもたれ感、早期飽満感のうち1つ以上の症状があり、これらの症状が少なくとも直近の6か月以上にわたって続いており、かつ直近の3か月間にも症状が続いている必要があります。
この疾患の原因は単一ではなく、胃や十二指腸の運動障害、知覚過敏、精神的な影響、胃酸の刺激などの要素が複雑に絡み合って発症することが一般的です。遺伝要因や胃の形状なども機能性ディスペプシアの発症に影響を与える可能性があります。また、ヘリコバクター・ピロリ菌感染や感染性胃腸炎の経験、アルコール摂取や喫煙、不規則な生活習慣なども誘因となることがあります。
食道がん
食道がんは、食道内の粘膜から発生し、複数の部位に同時に現れることがあります。早期食道がんは粘膜内に留まり、表在食道がんは粘膜下層まで、進行食道がんはさらに深い層に達します。がんが大きくなると、周囲の臓器に広がり、血液やリンパ液を通じて転移することがあります。
主な原因は喫煙と飲酒で、特に扁平上皮がんとの関連が強いです。アセトアルデヒドという発がん性物質が体内で生成され、酵素の活性が弱い人は食道がんのリスクが高まります。また、熱い飲食物の摂取も危険因子とされています。
初期段階では症状がほとんどなく、内視鏡検査やバリウム食道透視検査で発見されることがあります。進行すると飲食時の違和感や体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ます。これらの症状は肺や心臓、のどなどの他の疾患でも見られますが、食道も検査する必要があります。
食道静脈癌
食道粘膜の下にある静脈が膨らんで血管が瘤状になる疾患は、一般的に静脈瘤と呼ばれます。この状態は、肝硬変などの疾患により肝臓からの門脈の圧力が増加する患者でよく見られます。肝臓の疾患が進行すると、血管が破れて出血することがあります。
静脈瘤自体は通常症状が現れませんが、肝硬変などの原因となる症状(例えば、手のひらの赤み、胸部の血管の浮き出し、疲労感、倦怠感、黄疸など)が現れることがあります。静脈瘤が破裂すると、吐血や下血などの症状が現れることがあります。
原因は門脈圧亢進症です。門脈圧亢進症とは、肝硬変などの肝臓の疾患が原因で、門脈の血液が正常に流れずに滞留し、門脈の血圧が上昇する状態を指します。この血液は胃や食道に逆流し、胃や腸の静脈の血液が増加し、静脈瘤が形成されます。
食道裂孔ヘルニア
胃ヘルニアは、胃の一部が胸腔内に移動し、その結果、胃の中の食べ物や液体が食道に逆流しやすくなる状態を指します。多くの場合、軽度の場合は症状がないことがありますが、ヘルニアが進行すると、げっぷや胸焼けなどの症状が現れることがあります。症状が深刻な場合には、手術が必要な場合もあります。
軽度の食道裂孔ヘルニアでは、通常は症状が現れませんが、進行すると胃の内容物が逆流し、逆流性食道炎などの症状が発生することがあります。典型的な症状には、胸やけや酸っぱいものが口に戻る感覚、げっぷの頻度の増加、すぐに消えるなどがあります。
食道裂孔ヘルニアの原因は、胸と腹部を隔てる横隔膜に関連しています。食道は横隔膜の穴を通って腹部の胃とつながっています。この穴を食道裂孔と呼び、これが生まれつき大きい場合や加齢によって広がった場合、胃が腹部の圧力で押し出され、胸腔内に移動します。腹部の圧力が増加する原因には、肥満や妊娠などがあります。胃が胸腔内に移動すると、胸部のX線写真で胃が胸部に映ることがあります。
バレット食道
食道の内側は、通常は扁平上皮と呼ばれる粘膜で覆われていますが、対照的に胃や腸は円柱上皮に覆われた異なる粘膜で構成されています。
バレット食道は、通常の食道下部の粘膜が、胃酸の影響で同様の円柱上皮に変化する状態を指します。この状態には、食道がんのリスクを高める腸上皮化生が80%含まれることが一般的であり、それゆえに食道がんの発症リスクが上昇します。日本でも、西洋化した食生活の影響により、この病気の発症が今後増加すると予測されています。
一般的な症状には、胸やけや胸の痛みが含まれます。特に夜間に痛みを感じることがよくあります。
バレット食道の原因ははっきりとはわかっていませんが、後天的なものであり、食道に胃酸が逆流することが関係していると考えられています。胃酸の逆流により、食道の粘膜が炎症を繰り返し、細胞が変性するというメカニズムが考えられています。
消化器内科のよくある病気は?〜大腸の病気〜
大腸がん

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんであり、腺腫という良性のポリープががん化して発生する場合や、正常な粘膜から直接発生する場合があります。日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいと言われています。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは、次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔内に散らばる腹膜播種を起こすことがあります。また、リンパ節転移や血液の流れによる遠隔転移も起こり得ます。大腸がんの転移が、肺や肝臓など別の臓器に腫瘍として先に発見されることもあります。
早期段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が現れることが多くなります。代表的な症状としては、便に血が混じる(血便や下血)、便の表面に血液が付着するなどが挙げられます。がんが進行すると、慢性的な出血による貧血の症状や、腸が狭くなることによる便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感覚、腹部の膨満感などの症状が起こることがあります。さらに進行すると腸閉塞となり、便が出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が現れます。体重が減ることもあります。
最も頻度が高い便に血が混じる、血が付着するなどの症状は、痔などの良性の病気でも起こることがあるため、放置されがちですが、がんであった場合は進行してしまう恐れがあります。このような症状がある場合は、早めに消化器科、胃腸科、肛門科などを受診することが重要です。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome、IBS)は、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、便通の異常が数か月以上続く状態を指します。統計によると、10人に1人程度が過敏性腸症候群に悩まされており、その予備軍である「下腹部痛」の症状がある人は6人に1人程度と言われています。特徴として、男性よりも女性の方が多く、特に20~30代の方に多い傾向があり、年齢を重ねると症状を訴える人が減ってくることがあります。
過敏性腸症候群は、便通異常のタイプに応じて「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つのタイプに分類されます。便秘型は便秘が主な症状であり、下痢型は下痢が主な症状です。混合型は下痢と便秘を繰り返す症状を示し、分類不能型は他の3つのタイプに当てはまらない特定の症状がある場合に使用されます。
過敏性腸症候群の原因は明確にはわかっていませんが、精神的なストレスや緊張により腸が知覚過敏になる可能性があります。また、腸の炎症性疾患や感染症による腸内の変化も原因として考えられています。さらに、食物アレルギーや消化に負担のかかる食事が症状を引き起こす可能性もあります。
潰瘍性大腸炎、クローン病
潰瘍性大腸炎とクローン病は、どちらも消化管に炎症が起こる慢性的な疾患であり、それぞれ独自の特徴を持っています。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜が炎症を起こし、びらんや潰瘍が生じる疾患で、症状のある活動期と寛解期を繰り返します。その原因は不明ですが、免疫系の過剰な活動が関与している可能性があります。主な症状には腹痛、下痢、血便、発熱、貧血、体重減少があります。適切な治療が不可欠であり、早めの診断と治療が重要です。
一方、クローン病も消化管に炎症が起こり、びらんや潰瘍を生じる慢性的な疾患です。潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病は消化管全体に炎症が及ぶことがあります。その原因も不明ですが、免疫系の異常が関与している可能性があります。主な症状には腹痛、下痢、発熱、体重減少、肛門の潰瘍や膿、痔ろうなどが含まれます。栄養障害を引き起こすこともあるため、栄養療法が必要な場合もあります。
潰瘍性大腸炎とクローン病は、診断と治療の過程で正確な鑑別が重要です。消化器内科を受診して、適切な診断と治療を受けることが必要です。
血便・下血
血便や下血は、便に血が混ざっている状態を指します。一般的に、鮮血便(真っ赤な血液)、暗赤色便、粘血便、墨のような黒い便(黒色便・タール便)などが含まれます。これらの状態は、医学的には厳密に定義されていますが、一般的には「肛門からの出血がある」「血が便に混ざっている」という意味で使われます。
血便や下血に伴う症状には、めまい、ふらつき、動機、息切れ、頭痛などがあります。また、これらの症状に加えて、胃痛、腹痛、排便異常(下痢や便秘、異常な便の形状)、発熱、肛門痛などが出ることもあります。
墨のような黒い便(黒色便・タール便)の場合、上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血が疑われます。これは胃酸と血液が混ざることで便が黒くなるためです。原因としては、食道や胃の病気(逆流性食道炎、マロリー・ワイス症候群、胃がんなど)、十二指腸の病気(十二指腸がん、十二指腸潰瘍など)が考えられます。黒色便・タール便が見られる場合は、胃カメラ検査を受けることが推奨されます。
鮮血便、暗赤色便、粘血便の場合、下部消化管(大腸)からの出血が疑われます。これらの便が見られる場合は、大腸の異常を疑い、大腸カメラ検査を受けることが重要です。大腸の病気(大腸癌、大腸ポリープ、炎症性腸疾患、痔核など)が原因である可能性があります。
虚血性腸炎
虚血性腸炎は、大腸の血管が一時的に閉塞されることで、大腸壁が虚血状態になり、粘膜に炎症や潰瘍が生じる疾患です。特に左側の下行結腸が血流低下しやすく、これによって腹痛や下痢、血便などの症状が現れます。
虚血性腸炎の代表的な症状は腹痛、下痢、血便があります。
その他、非常にまれには腸閉塞による膨満感や嘔吐、腸管壊死が起こることもあります。
動脈硬化による血流低下や便秘による腸管内圧の上昇などが、大腸の血管閉塞の原因となります。また、ストレスや食事の乱れ(高脂肪食)、生活習慣の乱れ(運動不足など)も要因とされています。