糖尿病の初期症状
糖尿病は自覚症状に乏しいものの、いくつかの特徴的な症状が現れることもあります。以下のような症状を感じたら、糖尿病の可能性を考えて早めに検査を受けましょう。
のどの渇き、頻尿
血糖値が高くなると、体は余分な糖分を尿として排出しようとします。その結果、尿の量が増え、のどの渇きを強く感じるようになります。
頻尿には様々な原因が考えられますが、そのうちの一つに糖尿病の可能性がありますのでご注意ください。
尿の異常
尿に糖分が多く含まれることで、普段より泡立ちやすくなったり、甘いにおいがしたりすることがあります。また、腎臓への負担により、蛋白尿が出ることもあります(糖尿病腎症)。
1手足のしびれ、こむら返り、違和感
高血糖により神経が障害を受けると、手足にしびれや痛み、こむら返り(足がつる)などの症状が現れることがあります。また、感覚が鈍くなり、怪我や出血に気づかなくなる場合もあります。
感染症にかかりやすい
高血糖状態が続くと白血球の働きが低下するため、感染症にかかりやすくなります。風邪をひきやすい、傷の治りが遅いと感じる場合は、糖尿病が原因の可能性もあります。
倦怠感、原因不明の体重減少
糖尿病になるとブドウ糖(体を動かすエネルギー)をうまく利用できなくなります。慢性的にエネルギーが不足するので、疲れやすくなったり、食事量が変わらないのに体重が減少したりすることがあります。
糖尿病の検査
糖尿病の診断は、血液検査によって測定した「血糖値(血液中のブドウ糖濃度)」、および「HbA1c(過去1~2か月間の平均血糖値)」をもとに行います。血糖値は食事の影響を受けるため、血糖値測定のタイミングを分けて実施します。
血液検査
- 随時血糖検査…食事の時間に関係なく行います
- 早朝空腹時血糖検査…朝食を抜いた空腹状態で行います
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)…10時間以上の空腹後、ブドウ糖液を飲んで血糖値の変化を測定します
糖尿病の診断基準
検査の結果、以下のいずれかの条件を満たした場合は「糖尿病型」と判定します。この時点ではまだ糖尿病だと診断できませんが、日を改めて検査を実施し、再び糖尿病型の条件を満たした場合に糖尿病と診断されます。
- ①随時血糖値が200mg/dL以上
- ②早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
- ③75gOGTT2時間値が200mg/dL以上
- ④HbA1cが5%以上
初回検査で糖尿病と診断できるケース
以下を満たす場合は、初回検査の段階で糖尿病と診断できます。
①~③のいずれか+④
①~③のいずれか+典型的な糖尿病、あるいは糖尿病網膜症の症状が見られる
境界型の判定(糖尿病予備群)
初回検査で糖尿病型と判定されても、別日の検査で異常が見られなかった場合は「境界型」と判定されます。これは現時点では糖尿病ではないものの、糖尿病の疑いがある状態であり、糖尿病予備群とも言われています。この段階で適切な対応を行うことで、糖尿病への進行を防ぐことができます。
糖尿病リスクの高い人
以下に該当する方は、糖尿病を発症するリスクが高いとされています。糖尿病は症状なく静かに進行する病気ですので、予防のためにも定期的に健康診断を受けてください。健康診断で数値の異常を指摘された場合は、放置せずに必ず受診するようにしましょう。
40歳代以上の方
Ⅱ型糖尿病は生活習慣の影響を大きく受けるため、加齢に伴ってそのリスクが上昇します。40歳代以上の方は、これまで以上に糖尿病に注意してください。
家族に糖尿病患者がいる方
親族に糖尿病の方がいる場合は、発症リスクが高まります。
生活習慣が乱れている方
運動不足や不規則な睡眠習慣は、糖尿病のリスク要因となります。
基礎疾患がある方
高血圧(140/90mmHg以上)や脂質異常症がある方、肥満の方(BMI:25以上)、過去に妊娠糖尿病を経験された方は、糖尿病を発症しやすい傾向にあります。
早期発見の重要性
糖尿病は発症・進行に伴う自覚症状がほとんどありません。糖尿病の進行によって傷ついた体を元に戻すことは難しいので、発症を未然に防ぐ、あるいは初期段階で的確な治療を始めることが重要です。
境界型での予防
境界型糖尿病(糖尿病予備群)は、正常と糖尿病の中間に位置する状態です。この段階で適切な生活習慣の改善を行うことで、糖尿病への進行を予防できる可能性が高くなります。具体的には、適度な運動習慣の確立、バランスの良い食事、適正体重の維持、ストレス管理、十分な睡眠などが血糖値の安定に役立ちます。
無理せず続けることが大切ですので、医師と相談しながらコツコツと進めていきましょう。
合併症リスクの低減
糖尿病の早期発見と適切な治療により、深刻な合併症を予防できます。糖尿病網膜症、腎症、神経障害などの三大合併症をはじめ、心筋梗塞、脳梗塞といった命に関わる合併症の発症リスクを大きく下げることが可能です。当院では定期的な検査により、これらの合併症の予防に努めています。
膵臓機能の保護
糖尿病(Ⅱ型糖尿病)が進行すると膵臓に過度な負担がかかり、インスリン(※)の分泌能力が徐々に低下していきます。早期発見・早期治療により、インスリンを分泌する膵臓の機能低下を防ぐことができます。早期の段階で適切な治療を開始することで、膵臓の機能を長く維持し、将来的な治療の選択肢を広げることが可能となります。
(※)血糖値を一定に保つホルモン
治療効果の最大化
早期発見により、軽度な治療でも十分な効果が得られる可能性が高まります。生活習慣の改善だけで良好な血糖コントロールが行えれば、薬なしでも糖尿病の治療が十分に可能です。
医療費の抑制
進行した糖尿病や合併症の管理が必要になれば、多大な医療費がかかる可能性があります。早期発見・早期治療ができれば、将来的な医療費を大きく抑えられます。
生活の質の維持
適切な時期からの管理により、患者様のQOL(生活の質)を長期にわたって維持できます。重症化による日常生活への影響を最小限に抑え、健康的で活動的な生活を続けることが可能です。
当院での対応
糖尿病専門医のいる箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、糖尿病の予防から治療まで、患者様に寄り添った医療を提供いたします。糖尿病専門医による診察や動脈硬化検査(CAVI/ABI)や各種エコー検査(心エコー、頸動脈エコー、下肢動脈エコーなど)のほか、当院には循環器専門医もおりますので、糖尿病に関連する循環器疾患への専門的な対応も可能です。
糖尿病について気になることがあれば、お気軽に当院へご相談ください。