メタボ・肥満とは?
メタボリックシンドローム(メタボ)は、内臓脂肪型肥満を基本に、高血圧、高血糖、脂質異常症などの生活習慣病が重なった状態を指します。内臓に脂肪が過剰に蓄積することで、様々な代謝異常が引き起こされます。
内臓脂肪の蓄積は、血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンの働きを妨げ(インスリン抵抗性)、血糖値の上昇を引き起こします。そのため、メタボリックシンドロームは、糖尿病の重要な危険因子となります。
メタボ・肥満と診断されている方は、糖尿病のリスクがあることを常に意識し、解消をめざしましょう。早期発見と適切な管理により、糖尿病への進行を防ぐことが可能です。
メタボリックシンドロームの診断基準
- 内臓脂肪型肥満(腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上)
上記を満たす方のうち、以下のいずれか2つ以上に該当
- 高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)
- 高血圧(最高血圧130mmHg以上または最低血圧85mmHg以上)
- 脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満)
肥満の種類と特徴
皮下脂肪型肥満
皮下脂肪が過剰に蓄積するタイプの肥満です。主に太もも、お尻、腕などに脂肪が付きやすく、体型の変化が分かりやすいのが特徴です。メタボリックシンドロームのリスクは、内臓脂肪型肥満と比べて比較的低いとされています。
内臓脂肪型肥満
腹腔内の臓器周囲に脂肪が蓄積するタイプです。見た目はお腹周りが出る「リンゴ型」体型となります。蓄積された内臓脂肪はインスリンの働きを妨げ、血糖値や血圧の上昇を促進します。糖尿病をはじめとする様々な生活習慣病のリスクを高めますので、早めの解消を推奨いたします。
肥満の自己チェック
肥満の診断にはBMI(Body Mass Index)という指標を用います。あくまでも目安ですが、一般的に「BMI25以上」が肥満に該当します。肥満傾向にある方は、糖尿病などの合併症予防も兼ねて早めの受診をお勧めいたします。
- BMI = 体重(kg) ÷ [身長(m) × 身長(m)]
BMI | 判定 |
---|---|
18.5未満 | 低体重 |
18.5~25未満 | 普通体重 |
25~30未満 | 肥満(1度) |
30~35未満 | 肥満(2度) |
35~40未満 | 肥満(3度) |
40~ | 肥満(4度) |
メタボ・肥満の健康リスク
メタボ・肥満は様々な健康リスクが伴います。糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの合併リスクが上がるほか、心疾患や脳血管障害(脳卒中)などの重篤な疾患につながる危険もありますので注意が必要です。
糖尿病のリスク増加
内臓脂肪から分泌される物質は、インスリンの働きを妨げます。この状態(インスリン抵抗性)が続くと、やがて血糖値が上昇し、糖尿病を発症する可能性が高まります。メタボは糖尿病の原因の一つでもあるのです。
様々な合併症のリスク増加
メタボ・肥満の原因は、他の生活習慣病と共通する点が多いです。そのため、放置されると糖尿病をはじめ、高血圧症、脂質異常症、脂肪肝、高尿酸血症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの疾患につながる恐れがあります。
心疾患・脳卒中のリスク上昇
内臓脂肪の蓄積は動脈硬化を促進するため、心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症のリスクが高まります。高血圧や脂質異常症の危険因子が重なるほど、そのリスクは上昇します。
メタボ・肥満の原因
生活習慣の乱れ
過剰なカロリー摂取、運動不足、不規則な生活リズムなどが主な原因となります。特に高糖質・高脂肪食の過剰摂取や慢性的な運動不足は、内臓脂肪の蓄積を促進します。栄養が豊富でデスクワーク・リモートワークが増えつつある現代では、栄養過剰・運動不足が起こりやすいため、メタボ・肥満の方が増えつつあります。
ストレスの影響
過度なストレスは食欲の増加や運動不足を引き起こし、さらに内分泌系にも影響を与えて代謝異常を促進する可能性があります。
遺伝的要因
体質や遺伝的な要因も影響します。ただし、生活習慣の改善と適切な管理ができれば十分に予防できます。
メタボ・肥満の予防と改善
適切な生活習慣の改善により、メタボ・肥満の予防や改善が可能です。食習慣や運動習慣を見直しつつ、生活リズムを整えていきましょう。
食事療法
糖質、脂質の摂りすぎに注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。食事療法は糖尿病の予防・管理にも共通しますので、適切な食習慣を続けることができれば、両方の予防・改善が見込めます。
また、メタボ・肥満、糖尿病は、いずれも発症・進行に伴う自覚症状がほとんどありません。症状の有無を問わず、定期的な健康診断を受けることでその予兆を把握し、事前に対策することが重要です。
- 適切なカロリー制限
- 脂質、糖質の過剰摂取を避ける
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 食物繊維を積極的に摂る
- 毎日3食規則正しく食べる など
運動療法
ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、筋力トレーニング(レジスタンス運動)も組み合わせることをお勧めします。まずは日常生活での活動量を増やすことから始め、徐々に運動量を増やしていきましょう。
- 有酸素運動(ウォーキング、水泳など)
- 筋力トレーニング(スクワット、踵上げなど)
- 日常生活での活動量増加(階段の上り下り、食べてすぐ横にならない) など
生活習慣全般の見直し
十分な睡眠とストレス管理を心がけ、禁煙や適度な飲酒など、生活習慣全般の見直しが大切です。継続的な改善のためには、無理のない範囲で少しずつ習慣を変えていくことをお勧めします。
- 十分な睡眠
- ストレス管理
- 禁煙・節酒 など
健康診断
定期的に実施される健康診断の機会を活用し、メタボ・肥満の予防・改善に努めましょう。検査値に異常が見られた場合は、放置せずに医師に相談し、早めに治療を開始することが重要です。
当院も各種健康診断に対応しており、箕面市の特定健康診査(特定健診)も実施しております。特定健診はメタボの予防・改善を目的とした健診ですので、ぜひご活用ください。
当院での取り組み
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、メタボ・肥満をはじめとした生活習慣病全般の予防・治療に精力的に取り組んでいます。定期的な検査で改善状況を確認しながら、必要に応じて治療内容を決定・調整いたします。
早期発見・早期治療が重要ですので、「肥満気味で不安」「健康診断で引っかかった」などのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
合併症の予防
メタボ・肥満の方は、合併リスクの高い高血圧や脂質異常症の予防・管理も含めた総合的なアプローチが重要です。当院では、糖尿病専門医および循環器内科専門医の連携による適切な管理をご提供しています。
適切な治療へ迅速につなげる医療連携
生活習慣の改善のみでは改善が見込めないケースでは、薬物療法や外科的治療も検討します。より専門的な処置が必要な場合でも、近隣のクリニックや基幹病院との連携により、スムーズなご紹介が可能です。