PH検査について
PHは、尿の酸性度・アルカリ度を示す指標です。PH7.0を中性として、それより低ければ酸性、高ければアルカリ性となります。
通常、尿は弱酸性(PH5.0~7.0程度)に保たれていますが、この範囲を慢性的に外れる場合は、代謝異常や腎臓の病気、尿路感染症などが疑われます。ただし、健康な方でもある程度の変動はあるので、数値に異常がある場合は再度検査をして原因を特定する必要があります。
尿路結石を繰り返す方や、他の尿検査項目にも異常がある方は、一度箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでの精密検査をご検討ください。
検査の意義と検査方法
尿中のPHの値を調べることは、体内の酸塩基平衡(※)の状態や腎臓の調節機能を評価するのに役立ちます。また、尿路結石の成因分析や再発予防、尿路感染症の診断補助としても活用されます。
(※)体内の酸性物質とアルカリ性物質のバランスのこと
検査方法
試験紙法
尿検査用の試験紙を尿に浸し、試験紙の色の変化でPH値を判定します。PH指示薬が尿の酸性度に応じて色が変わる仕組みで、健康診断などで広く用いられています。
【一般的な基準値】
- PH5.0~7.0:正常範囲(弱酸性)
- PH5.0未満:強酸性(異常)
- PH7.5以上:アルカリ性(異常の可能性)
※早朝尿は酸性に傾きやすく、食後はアルカリ性に傾きやすい
PHメーターによる測定
より正確な測定が必要な場合は、電極式のPHメーターを用いて数値を測定します。
尿PH異常の主な原因
酸性尿(PH低下)の原因
食事の影響
肉類、魚類、卵など動物性タンパク質を多く摂取すると、尿は酸性に傾きます。これは代謝産物として酸が産生されるためで、一時的なものであれば問題ありません。
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病の悪化により体内でケトン体が大量に産生されると、血液と尿が酸性に傾きます。インスリンが極度に不足した際に起こる急性合併症で、口渇、多尿、倦怠感、嘔吐などの症状が現れます。さらに悪化すると意識障害や昏睡を引き起こす可能性があるため、緊急の治療が必要です。
(※リンク→「ケトン体」)
(※リンク→「糖尿病の合併症」)
高尿酸血症(痛風)
血液中の尿酸が過剰(7.0mg/dL以上)になっている状態です。尿酸の排泄が増加するので、尿が酸性に傾きやすくなります。また、この状態では尿酸が尿に溶けにくくなっているため、尿路結石のリスクを高めてしまいます。
激しい運動
激しい運動により乳酸が産生されると、一時的に尿が酸性に傾くことがあります。
飢餓状態
長期間の絶食や極端なダイエットでも、ケトン体産生により尿が酸性化することがあります。
アルカリ尿(PH上昇)の原因
食事の影響
野菜、果物、海藻類など植物性食品を多く摂取すると、尿はアルカリ性に傾きます。過度でなければ問題ありません。むしろ高尿酸血症の予防のためにも、植物性食品は積極的な摂取をお勧めします。
尿路感染症
膀胱炎などの尿路感染症では、尿素がアンモニアに分解されるため、尿がアルカリ性になります。
嘔吐
激しい嘔吐により胃酸が失われると、体内がアルカリ性に傾き、尿もアルカリ化します。
慢性腎不全
腎機能が低下すると、腎臓で酸を排泄する能力が低下します。その結果、体内には酸が蓄積する一方で、尿を酸性化することができなくなり、PHが上昇してアルカリ尿となることがあります。
薬剤の影響
制酸剤や一部の利尿薬などの影響により、一時的に尿がアルカリ化することがあります。
尿PH異常による症状
直接的な症状は少ない
尿PHの異常自体が症状を引き起こすことは通常ありません。ただし、上述の原因によって血液が過度に酸性またはアルカリ性に傾くと、以下のような急性症状を引き起こすことがあります。
アシドーシス
血液が正常よりも酸性に傾いた状態です。初期症状として倦怠感、吐き気、頭痛、呼吸が深く速くなるなどの症状が現れ、重症化すると意識障害やショック状態に陥ることがあります。
アルカローシス
血液が過度にアルカリ性に傾いた状態です。手足のしびれ、筋肉のけいれん、めまい、不整脈などの症状が現れ、重症の場合は意識障害を起こすこともあります。
検査を受ける際の注意点
採尿のタイミング
尿PHは1日の中で変動します。早朝空腹時は酸性に、食後はアルカリ性に傾く傾向があります。必ず指示された時間に採尿してください。
食事の影響
前日の食事内容が結果に影響します。特定の食品を極端に多く摂取した場合は、医師に伝えてください。
尿PH異常の場合の対応
再検査・精密検査
尿PHに異常が見られた場合、以下の検査で原因を調べます。
- 血液検査:血液の酸塩基平衡や腎臓の働きの評価、糖尿病・高尿酸血症の有無を確認
- 尿検査:尿糖、尿蛋白、尿潜血、ケトン体の有無を確認、尿路感染症の原因菌を特定
- 腹部超音波検査・CT検査:尿路結石の有無や腎臓の形態を評価
※CT検査は実施可能な医療機関をご紹介します
原因疾患の治療
尿PH異常の原因が明らかな場合は、それぞれに応じた治療を行います。例えば糖尿病性ケトアシドーシスには緊急のインスリン治療と輸液が、尿路感染症には抗菌薬による治療などが選択肢となります。尿路結石の場合は結石の種類を特定したうえで、水分摂取の指導、食事療法のほか、必要に応じて尿アルカリ化薬の投与や体外衝撃波結石破砕術(ESWL)などを検討します。
日常生活での注意点
バランスの良い食事
肉類に偏った食事や野菜に偏った食事を避け、バランスの良い食事を心がけましょう。極端な食事制限は、尿PHの異常につながることがあります。
十分な水分摂取
尿路結石の予防にはこまめな水分摂取が有効です。1日1.5~2ℓ程度の水分摂取を心がけてください。
よくあるご質問
尿PHが酸性と言われました。病気ですか?
必ずしも病気とは限りません。肉類中心の食事や早朝空腹時の尿では酸性になりやすいからです。ただし、糖尿病や高尿酸血症(痛風)などが原因のこともありますので、他の検査結果と合わせて評価する必要があります。
尿PHを正常に保つにはどうすればいいですか?
バランスの良い食事が基本です。肉類と野菜をバランスよく摂取することで、尿PHは正常範囲に保たれやすくなります。
尿路結石があると言われています。尿PHは関係ありますか?
はい、尿PHは尿路結石と深く関係しています。結石の種類によって、酸性尿でできやすいもの、アルカリ尿でできやすいものがあります。