ケトン体検査について
ケトン体は、体が糖質をエネルギー源として使えない時に、代わりに脂肪を分解してエネルギーを作り出す際に生成される物質です。アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類があります。
通常、健康な方の尿にはケトン体はほとんど含まれませんが、絶食、極端な糖質制限、激しい嘔吐、糖尿病の悪化などで陽性となります。尿検査でこの値を調べることで、体内でのエネルギー代謝の状態を評価できます。
ケトン体陽性には様々な原因が考えられますので、検査結果でご不明な点があれば、箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックへお気軽にご相談ください。
検査の意義と検査方法
尿中のケトン体を調べることで、糖質代謝と脂肪代謝のバランスを評価できます。特に糖尿病の悪化を早期に検出できるため、適切な治療介入のタイミングを判断する重要な指標となります。
検査方法と基準値
試験紙法(定性検査)
尿検査用の試験紙を尿に浸し、試験紙の色の変化を見て判定します。試験紙に含まれる試薬(ニトロプルシドナトリウム)が、尿中のケトン体と反応して紫色に変色する仕組みです。比較的簡便な方法で、健康診断や糖尿病患者の日常管理などでよく用いられます。
【一般的な基準値】
- 陰性(-):正常
- 境界域(±):微量のケトン体が検出された可能性あり
- 陽性(+、2+、3+、4+):ケトン体が検出された
※数字が大きいほどケトン体量が多いことを示す
定量検査(血中ケトン体測定)
血液検査でケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸)を定量測定します。より正確な評価が必要な場合に実施する検査です。
【一般的な基準値】
- 総ケトン体:130μmol/L未満
- β-ヒドロキシ酪酸:85μmol/L未満
- アセト酢酸:55μmol/L未満
ケトン体陽性の主な原因
糖尿病性ケトアシドーシス
インスリンが極度に不足すると、体は糖を利用できず脂肪を大量に分解しはじめます。その結果としてケトン体が大量に産生され、血液が酸性に傾く危険な状態となります(アシドーシス)。糖尿病の急性合併症であり、治療が遅れると意識障害や昏睡状態に陥る危険性があります。
飢餓状態
長期間の絶食、極端なダイエット、拒食症などで食事からの糖質摂取が不足すると、体は一種の飢餓状態に陥ります。この際、脂肪を分解してエネルギーを得ようとするので、ケトン体が産生されて尿中に漏れ出ることがあります。
激しい嘔吐・下痢
感染性胃腸炎やつわりなどで激しい嘔吐や下痢が続くと、脱水と糖質不足によりケトン体が産生されます。
発熱
高熱により代謝が亢進し、エネルギー需要が増加すると、ケトン体が産生されることがあります。
つわり(悪阻)
妊娠初期のつわりが重症化し、食事摂取が困難になると、ケトン体が陽性となります。これも病的なものではありませんが、母体と胎児への影響を考慮した治療が必要です。
その他の要因
甲状腺機能亢進症、過度の運動、アルコール性ケトアシドーシスなどでもケトン体が陽性となることがあります。
ケトン体陽性による症状
糖尿病性ケトアシドーシスの症状
口渇、多尿、倦怠感、嘔吐などから始まり、悪化すると腹痛、意識障害、特有の果物様の呼気臭(アセトン臭)などが現れます。放置すると昏睡状態に陥り、命に危険が及ぶこともあります。
飢餓状態の症状
倦怠感、集中力の低下、めまい、頭痛などが現れます。長期化すると栄養失調による様々な健康問題(体力、免疫力、筋肉量の低下など)が生じます。
長期の無理な糖質制限は、心血管疾患のリスクや腸内細菌叢の悪化を招く可能性が指摘されています。必ず専門家の指導のもとで行うようにしてください。
検査を受ける際の注意点
ダイエット中なら申告を
極端な糖質制限を続けている場合は、検査前に医師に伝えてください。食事内容により結果が変わります。
症状がある時も申告を
嘔吐、下痢、発熱などの症状がある場合は、必ず医師に伝えてください。これらの情報は結果の解釈に重要です。
ケトン体陽性への対応
原因の特定
血液検査により血糖値、電解質、血液ガス分析などを行い、ケトン体陽性の原因を特定します。
緊急性の評価
糖尿病患者でケトン体が強陽性の場合、特に腹痛や嘔吐を伴う場合は、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があります。緊急治療が必要ですので、すぐに病院を受診するか、救急車を呼んでください。
糖尿病性ケトアシドーシスの治療
輸液による脱水・電解質の補正、インスリン投与などを行います。入院治療が必要となることも多いので、当院への受診後は必要な検査や初期対応などを行ったうえで、提携医療機関への迅速な搬送手続きを行います。
日常生活での注意点
バランスの取れた食事
極端な糖質制限は避け、適度な炭水化物を含むバランスの取れた食事を心がけましょう。無理なダイエットは健康を損なう可能性がありますので、くれぐれも注意してください。
糖尿病患者の自己管理
インスリン治療中の方は、自己判断でインスリンを中止しないでください。また、シックデイ(体調不良時)のルールを事前に主治医と相談しておきましょう。
定期的な血糖測定
糖尿病患者は家庭での血糖自己測定を習慣化しましょう。治療を続けても高血糖が持続する場合は、早めにご相談ください。
よくあるご質問
健康診断でケトン体が陽性でしたが、自覚症状がありません。受診は必要ですか?
自覚症状がなくても、一度受診されることをお勧めします。検査前の食事制限や極端なダイエットによる一時的な陽性であれば問題ないことも多いですが、糖尿病の悪化や甲状腺機能亢進症など、自覚症状が出にくい病気が隠れていることもあります。
ダイエット中にケトン体が陽性になりました。危険ですか?
極端な糖質制限によるケトン体陽性は、必ずしも危険ではありません。ただし、長期的な健康への影響を考慮し、バランスの取れた減量法をお勧めします。糖尿病がある方は特に注意が必要です。
糖尿病でケトン体が陽性の場合、どうすればいいですか?
糖尿病性ケトアシドーシスの前兆である可能性があります。口渇、多尿、倦怠感などから始まることが多いので、これらの症状がある場合は、速やかに受診してください。